西郷隆盛

■外交について
一七 正道を踏み国を以て斃(たお)るるの精神無くば、
外国交際は全まつたかる可からず。

彼の強大に萎縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に順従する時は、
軽侮を招き、好親却かえつて破れ、終に彼の制を受るに至らん。

<現代語>
正しい道を踏み、国を賭けて、倒れてもやるという精神が無いと外国との交際はこれを全うすることは出来ない。外国の強大なことに萎縮し、ただ円満にことを納める事を主として、自国の真意を曲げてまで、外国の言うままに従う事は、軽蔑を受け、親しい交わりをするつもりがかえって破れ、しまいには外国に制圧されるに至るであろう。